顔の中央がよく赤くなって来院された方から、「なぜよりによって私にこんなことが起きるのか」という質問をよく受けます。酒さの赤みは、怠けやケア不足の結果ではなく、生まれつきの肌の性質と日常の刺激が重なって現れる現象です。その原因の構造を、遺伝と引き金という二つの軸に分けて整理してみます。
原因はまだ一言ではまとめられません
正直に申し上げると、酒さの原因はいまだに一つに明確には解明されていません。

だからといって、何もわかっていないという意味ではありません。多くの皮膚疾患と同じように、酒さも複数の要因が複雑に絡み合って発症に関わっています。下の図を見ると、全体像がひと目でわかります。

顔の赤み(フラッシング)がない方は、多少の刺激では顔の赤みが目立つことはあまりありません。

一方、遺伝的に脆弱性を持つ方は、特定の刺激によって免疫反応と神経血管系の反応が強く引き起こされ、症状が現れます。結局、生まれつきの素因と外からの刺激が出会うところで赤みが始まると理解していただければよいでしょう。では、二つの軸を一つずつ見ていきます。
生まれつきの脆弱性はどこまで説明してくれるのか
学会や研究資料によると、酒さ患者のかなりの割合で家族歴があわせて報告されています。遺伝的な関連があると推測される根拠であり、個人差はあります。

上の写真は、英国王室のチャールズ3世と、その二人の息子であるウィリアムとハリーの顔です。父親と同じように、顔の中央部が赤く見えますね。顔の赤みが家系的に受け継がれる傾向を示す、なじみのある例です。
問題は、この部分が私たちの思いどおりには変えられない領域だということです。

生まれつきの脆弱性そのものをなくすことはできません。そのため診察室では、体質を治すことではなく、引き金を引く回数を減らすことを目標にしています。変えられないものと変えられるものを区別することが、治療の出発点です。
引き金が引かれると、体の中で何が起きるのか
ほとんどの人は花粉に特に反応しませんが、ある人は花粉でアレルギー性鼻炎が出るように反応します。酒さも同じです。同じ刺激でも、脆弱性を持つ方でははるかに激しい反応につながります。
代表的な悪化因子は次のとおりです。
- 紫外線への曝露
- 刺激の強い食べ物
- 精神的ストレス
- 激しい運動
- 高い温度、サウナや熱気

ストレスをたっぷり受けた日に、日差しが照りつける真昼の屋外で激しく運動し、辛い炒め麺を食べたあとサウナにまで行く一日。悪化因子を一か所に集めたような状況なので、赤みが強くなりやすいのです。こうした刺激が実際に症状を生み出す過程は、下の図にまとめられています。

ここでの鍵となる因子が抗菌ペプチドです。LL-37と呼ばれるこの物質が過剰に発現すると、不要な炎症反応と血管反応が次々に起こり、その結果、酒さ特有の赤みとほてりが現れます。ですから、上に挙げた悪化因子を避けることこそが治療の始まりだと言えます。

悪化因子を表にまとめると
日常で出会う引き金と、それに対応する方向性を簡単にまとめてみました。
| 悪化因子 | 日常の例 | 対応の方向性 |
|---|---|---|
| 紫外線 | 日中の屋外活動 | 日焼け止めと日陰の活用 |
| 刺激の強い食べ物 | 辛くて熱い食べ物、飲酒 | 刺激の強さを調整 |
| 精神的ストレス | 過労、睡眠不足 | 回復と休息を優先 |
| 激しい運動 | 高強度の運動直後のほてり | 強度と時間を分散 |
| 高い温度 | サウナ、熱いお風呂 | ぬるめの温度を保つ |
食べ物に関する話は少し性質が異なるため、別にまとめた酒さと食べ物を扱った記事で詳しく解説しています。ご自身の引き金が何かわからない場合は、今すぐチャットで相談するから、生活習慣から一緒に確認していくことができます。
外用ステロイドが原因になるという逆説
意外なことに、外用ステロイド剤も酒さの主な原因の一つです。

先の症状をまとめた第1部でもお話ししたように、酒さは初期の診断が容易ではありません。

そのため、脂漏性皮膚炎や接触皮膚炎と誤認され、外用ステロイド剤を処方されて塗るケースが少なくありません。最初は落ち着いたように見えても、再発するたびに医療機関を転々としてステロイドを繰り返すと、かえって酒さが悪化することもあります。もちろん二つの疾患が重なっている場合もよくあり、必要であれば短期間ステロイドを使うこともあります。大切なのは、状況に合った判断です。
なぜ一か所で継続して診てもらうことをお勧めするのか
まとめると次のとおりです。
- 生まれつきの脆弱性は変えられないので、引き金を減らすことからケアを始めます。
- 紫外線や熱、刺激の強い食べ物、ストレスといった悪化因子を把握し、一つずつ減らしていきます。
- 自己判断でステロイドを繰り返すよりも、まず正確な診断を受けます。
こうした理由から、複数の医療機関を転々とするよりも、皮膚科専門医が診療する一か所を決めて経過を継続して見ていくことをお勧めします。赤みが良くなったり悪くなったりを繰り返すほど、その流れを知る一人の目が、診断と方向性の決定に役立ちます。化粧品ケアの方向性が気になる方は、酒さで何を減らすべきかをまとめた記事もあわせて参考になさってください。
赤みが長く繰り返されて方向性を決めにくい場合は、下からお気軽にお問い合わせください。
チャットで相談する参考にした学術資料
この記事の内容は、以下の文献をもとに整理しました。
- Wolff, Klaus, et al. Fitzpatrick's Color Atlas, Dermatology. 2012.
- Chang, Anne Lynn S., et al. Assessment of the genetic basis of rosacea by genome-wide association study. Journal of Investigative Dermatology, 2015.
- Two, Aimee M., et al. Rosacea part I. Introduction, categorization, histology, pathogenesis, and risk factors. Journal of the American Academy of Dermatology, 2015.
- Holmes, Anna D., and Martin Steinhoff. Integrative concepts of rosacea pathophysiology, clinical presentation and new therapeutics. Experimental Dermatology, 2017.
執筆:チョ・ミンギョル院長(皮膚科専門医、大韓皮膚科医師会 色素・ニキビ・酒さ・毛髪マスター認定)。詳しい経歴は医療スタッフ紹介でご確認いただけます。 初回公開 2023年2月27日 / 最終確認 2026-07-09
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個人の状態によって適切な治療と結果は異なる場合があります。