診察室で難治性の肝斑についてご相談を受けていると、すでにピコトーニングを何度も受けたのに色がそのままで、がっかりされている方によく出会います。そんなとき私がお伝えする答えは、たいてい似ています。トーニングが悪いのではなく、その肝斑がトーニング一つだけで解決する種類ではなかった可能性が高いということです。以前の記事で副作用で生じた肝斑を組み合わせ治療で扱った症例をご紹介しながら原理に短く触れましたが、今日はそれらの道具を一つずつ、もう少し詳しくご説明してみます。

ピコトーニングが色素治療のすべてではありません
最近「ピコトーニング」という言葉が流行のように広がり、まるでこれ一つですべての色素が片づくかのように考えられることもあります。しかし、色素治療の基本軸は今もナノ秒レーザーであるQスイッチNd:YAGです。ピコレーザーとナノレーザーは競合関係ではなく、互いを補い合う関係に近いのです。
オアロで使っているスターウォーカーには、ピコ秒のパルスを複数集めてナノ秒のパルスを実現した、ピコとナノのハイブリッドパルスであるMaQXモードがあります。以前のバージョンであるフォトナ QX MAXが強力な出力でやや荒い印象だったのに対し、MaQXモードはもう少しやわらかく、治療後の表皮への刺激が少ないという長所が報告されています。簡単に言えば、肝斑を過度に刺激せずに色素を砕けるように設計されたモードです。
色素治療で私がいつも強調している原則は一つです。表皮の色素を消す力と、真皮の背景を整える力は、それぞれ別の道具から生まれるということ。だからこそ、難治性の肝斑であるほど、一つの方法にすべてを賭けることはしません。
真皮の背景を変えるピコフラクショナル
ピコフラクショナル方式の一つであるDOE方式は、肌の奥深くまで強いエネルギーを届け、真皮層に微細な損傷をつくります。この損傷がかえってコラーゲンの生成を刺激し、その過程で真皮の環境が良い方向へ変わっていきます。

ピークパワーの強いピコレーザーをフラクショナルの形で照射すると、何が起こるのでしょうか。

真皮組織に微細な穴ができ、そこに新しいコラーゲンが満ちていくことで、老化した真皮が再生されます。真皮の環境そのものが改善される原理です。その結果は、下の資料で確認できます。

学術資料でも色素が改善する傾向が報告されており、

色素だけでなく、肌のキメや小じわまで一緒に改善する流れが観察されます。表皮の色だけを消すアプローチと、なぜ真皮の背景まであわせて見る必要があるのかについては、表皮のメラニンだけを消しても肝斑が再び濃くなる理由でより詳しくまとめています。
もし今受けているトーニングの反応がなぜ遅いのか気になる方は、今すぐチャットで相談するからお気軽にお尋ねください。
マイクロニードル高周波はどんな役割を果たすのか
マイクロニードル高周波も、肝斑治療に活用できる道具です。微細な針を通して肌の奥深くまでエネルギーを届け、真皮層の再生を促す方式です。作動原理をまとめると次のとおりです。
- 表皮には最小限の損傷しか与えずに、真皮層へ熱を届ける
- 真皮への熱刺激によって、コラーゲンの生成を促進する
- 損傷した肌の構造を改善し、メラノサイトの活性を下げる
ただし、ここには前提があります。必ず適切なエネルギー強度でのみ行わなければならないという点です。過度なエネルギーはかえって色素を刺激することがあるため、強度の設定がそのまま結果を左右します。

上の資料では、マイクロニードル高周波を行った右側が、行っていない左側よりも肝斑がよりはっきりと改善した様子が見られます。個人差はあります。
ジェネシスとデュアルトーニング、そして赤みを伴う肝斑
ジェネシス(Genesis)テクニックは、大きく三つの方向から肌の再生と肝斑治療を助けます。肌の再生、炎症の緩和、そしてコラーゲン生成の促進です。

学術資料でも、デュアルトーニング、つまりQスイッチNd:YAGとジェネシスをあわせて適用し、肝斑を改善させた結果が報告されています。

ここで一つ押さえておきたい点があります。すべてではありませんが、多くの肝斑患者さんで血管の増殖が有意に増えていることが知られています。

そのため、赤みを伴う肝斑であれば、血管をターゲットとするトーニングにVビーム595nmを併用してアプローチします。顔の赤みを抑えながら、肝斑の改善もあわせて図る戦略です。ただし、ロングパルスレーザーの特性上、過度に適用するとかえって肝斑を悪化させることがあるため、ここでも強度の調整が鍵となります。
各機器の特徴が気になる方は、Vビームパーフェクタとスターウォーカーの紹介もあわせてご参考ください。
内服薬と外用薬はどのように加えるのか
レーザーと高周波だけで終わらせない場合も多くあります。色素の背景もあわせてケアするために、次の成分を併用することもあります。
| 区分 | 成分 | 役割 |
|---|---|---|
| 内服薬 | トラネキサム酸 | 色素の背景のケアを補助 |
| 外用薬 | レチノイド系 | 表皮のターンオーバーと色素の改善を補助 |
肌の敏感さによっては刺激を感じる方もいるため、個人差があります。そのため、これらの薬剤は必ず詳しいカウンセリングのうえで処方を受けて使用してください。良い施術を受けても色が再び濃くなる流れが繰り返される場合は、良い施術を受けても肝斑が再び濃くなる方に、診察室でお尋ねすることもあわせてお読みいただくことをお勧めします。
難治性の肝斑をあきらめなくてもよい理由
ここまで整理した道具をひと目でまとめると、次のとおりです。
- 表皮の色素を砕く軸 — ナノおよびピコトーニング
- 真皮の背景を再生する軸 — ピコフラクショナル、マイクロニードル高周波、ジェネシス
- 血管の要素を整える軸 — 血管ターゲットのトーニングとVビームの併用
- 内側から背景をケアする軸 — 内服薬と外用薬
難治性の肝斑は、これらの軸をその方の色素の状態に合わせて組み合わせたときに、方向性が変わります。もちろん100%の改善は難しいです。それでも確かに良くなる余地はあるので、決してあきらめないでいただきたいと思います。なぜトーニングだけでは足りなかったのか気になっていた方は、あなたのレーザートーニングに効果がなかった理由も参考になるでしょう。
ご自身の肝斑がどの軸に引っかかっている状態なのかを確認したい方は、下からお気軽にご相談を始めていただけます。
チャットで相談する
執筆:チョ・ミンギョル院長(皮膚科専門医、大韓皮膚科医師会 色素・ニキビ・酒さ・毛髪マスター認定)。詳しい経歴は医療スタッフ紹介でご確認いただけます。 初回公開 2024年8月3日 / 最終確認 2026-07-09
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、適切な治療と結果は個人の状態によって異なる場合があります。