診察室で色素のご相談を受けていると、一つの顔に性質の異なる色素が同時に存在しているケースによく出会います。今回ご紹介する60代後半の女性患者さんも、そのようなケースでした。片方の頬骨には10年以上再発を繰り返してきた日光黒子(老人性色素斑)があり、反対側には他院で受けた施術の後に残った色素沈着が重なっていました。

なぜこの日光黒子は10年間戻ってき続けたのか
最初の写真に見える右の頬骨の色素は、過去に他院で何度も治療を受けたにもかかわらず、その場にとどまって再び浮き出てきた日光黒子でした。日光黒子は表皮の下のメラニン細胞が活性化してできる色素で、表面だけを浅く消すと背景が残り、時間が経つと再び濃くなるという経過が診察室ではよく見られます。
そのため私は、日光黒子を扱うときには機器の名前よりも 波長 を先に見ます。色素が表皮にとどまっているのか、真皮の背景にまで及んでいるのかによって、アプローチが変わるからです。この点を組織学的に取り上げた記事がありますので、日光黒子が単純なトーニングだけではなかなか消えない理由が気になる方は、日光黒子を組織学で分けて見た記録も併せて読んでいただくとよいでしょう。

反対側に残った色素沈着は性質が違いました
反対側の頬の色素は、日光黒子とは性質が異なっていました。一般のクリニックで稗粒腫の施術を受けた後、炎症が治まる過程で色素がのった 炎症後色素沈着 のパターンでした。患者さんは当時、費用の負担が少ないことから施術を決められたそうですが、このような色素が残るとは思わなかったと、心を痛めていらっしゃいました。
同じ顔でも、2つの色素は原因も、扱うべき方向性も異なっていました。診察室で私がこの2つを見分ける基準をまとめると、次のとおりです。
| 区分 | 右の頬骨 | 反対側の頬 |
|---|---|---|
| 色素の性質 | 長く再発してきた日光黒子 | 施術後に残った色素沈着 |
| 主な背景 | メラニン細胞の活性化 | 炎症が過ぎ去った跡 |
| 診察室で見るポイント | 波長と深さ | 初期の鎮静とケアのタイミング |
炎症後色素沈着は、初期ケアのタイミングによって色の残り方が変わることが多くあります。この点は炎症後色素沈着の初期ケアを取り上げた記録により詳しく書いています。
日光黒子とほかの色素はどう見分けるのか
同じ茶色い斑点でも、診察室ではいくつかに分けて診ます。目で見ただけでは判断が難しいことが多いため、明るさや境界、深さを併せて確認します。
- 表皮に浅くとどまっている色素か、真皮の背景まで下りている色素か
- 色が均一か、縁がにじんでいるか
- 過去の治療歴があるか、その後どのように反応したか
このように色素を分けて見る過程そのものが、治療の方向性を左右します。皮膚科医がどのような目で色素を見分けているのかをもっと知りたい方は、診察室で色素をどう把握するかをまとめた記事をご参照ください。今のご自身の色素がどちらに近いのか気になる方は、今すぐチャットで相談するからお気軽にお尋ねいただいても大丈夫です。
治療後、どのように変わったか
今回の治療には リポットレーザー を使用しました。日光黒子と色素沈着それぞれの性質に合わせて波長と強さを分けてアプローチし、回復の過程を見守りながら調整しました。

なお、上の写真はMeta-Vu(メタビュー)が顔を撮影して3Dに合成する方式のため、撮影中に動きがあると多少のゆがみが生じることがあります。その点を考慮してご覧ください。治療後、右の頬骨の日光黒子は目に見えて薄くなりました。

反対側の色素沈着や肝斑、くすみ・シミも、かなり改善した様子が確認できました。ただし、回復の速さや程度には個人差があり、同じ治療でも結果は人によって異なる場合があります。治療前後を並べて比べると、変化がよりわかりやすくなります。


色素治療を受けた方からよく聞くひとこと
色素治療を終えた方からよく聞く言葉があります。
色が薄くなったのもうれしいけれど、肌にハリが出てきた気がします。


色素を扱う過程と肌のキメの変化がなぜ一緒についてくるのか、その原理は別にまとめています。色素治療が単に色を抜くだけの作業ではない理由が気になる方は、ピコトーニングだけで終わらせない理由を書いた記録をお読みになることをお勧めします。
あらためて強調したい1つのこと
今回の患者さんのように、他院で色素の施術を受けて色素沈着などの問題が残り、あらためて来院される方は診察室で少なくありません。費用だけを見て決めるよりも、色素の性質を見分けてから始めるほうが、再発や色素沈着という遠回りを減らす道だと私は考えています。
日光黒子を消した後のケアも、結果と同じくらい重要です。治療後の回復期をどのように見ていくかは、日光黒子除去後の回復ケアの方向性をまとめた記録に載せています。日光黒子や色素が長く気になっていた方は、まず今の状態を確認するところから始められることをお勧めします。
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本記事に使用した写真は患者さんの同意を得て撮影・掲載したものであり、無断使用を禁じます。
執筆:チョ・ミンギョル院長(皮膚科専門医、大韓皮膚科医師会 色素・ニキビ・酒さ・毛髪マスター認定)。詳しい経歴は医療スタッフ紹介でご確認いただけます。 初回公開 2024年10月7日 / 最終確認 2026-07-09
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、適した治療や結果は個人の状態によって異なる場合があります。