ニキビの相談をしていると、「薬も飲んだし押し出してもらったのに、どうしてまた同じところにできるのでしょうか」という質問を特によく耳にします。真面目に治療を受けている方ほど、この繰り返しをもどかしく感じるものです。今日は、こうした再発の連鎖をどこで断ち切るべきか、そして皮脂腺を直接狙うゴールドPTTがどのような原理で働くのかを、診療の視点から整理してみたいと思います。
ニキビの出発点は、結局のところ皮脂です
ニキビ治療の方向性は、思ったよりもシンプルです。核心は皮脂の分泌量を減らすことです。ニキビは、皮脂腺が過剰に活性化して皮脂が多く分泌され、その皮脂が毛穴をふさぎ、細菌が繁殖して炎症につながるという流れをたどります。

表面に赤く出てきた炎症性のニキビは、この過程の結果にすぎません。ニキビがなぜできるのかという基本的な原理が気になる方は、ニキビができる根本的な原因を説明した記事もあわせて読んでいただくと、ぐっと理解しやすくなります。
炎症を抑えるだけでは、なぜまたできるのか
抗生物質や圧出のように炎症そのものを狙う方法は、今見えている病変を減らすのには役立ちます。ただし、皮脂腺の過活動という原因がそのまま残っていれば、時間がたつと同じところに再び皮脂がたまりやすくなります。
そのため、再発を繰り返しやすいニキビでは、視点を一段階前に引き寄せて考えます。炎症を追いかけるよりも、皮脂をつくり出す皮脂腺そのものを調整する方向へ。ゴールドPTTは、まさにこのポイントを狙った治療です。
ゴールドPTTは、どのように皮脂腺を狙うのか
ゴールドPTTはGold Photothermal Therapy(金ナノ粒子光熱療法)の略で、金ナノ粒子を肌に塗布して皮脂腺の奥まで浸透させたあと、レーザーでその粒子を加熱し、皮脂腺を選択的に縮小させる原理を用います。

施術は大きく三つの段階で進みます。
- 肌の表面を整え、ナノ粒子がよく吸収される環境をつくります。
- 金ナノ粒子を塗布し、皮脂腺の奥へ吸収されるよう時間をおきます。
- 肌の表面に残った粒子をふき取ったあと、皮脂腺に到達した粒子にだけレーザーを照射します。
この方式の長所は、表皮を焼いたり削ったりせずに、狙った皮脂腺にだけ熱を届ける点にあります。表面のダメージを最小限に抑えながら皮脂腺を狙う、比較的負担の少ないアプローチだと理解していただければよいでしょう。
皮脂が減ると、何が変わるのか
皮脂腺の働きが抑えられて皮脂量が減ると、ニキビができる土壌そのものが浅くなります。そして油分が減ることで、副次的に肌のキメや毛穴の印象も一緒に整う傾向があります。

特にこの点は、薬を長く使うのが難しい状況で大きな意味を持ちます。成長期のためイソトレチノインのような皮脂抑制剤を使うのに慎重になる10代や、長期服用が負担になる大人ニキビにおいて、薬に頼らない選択肢になりうるからです。ニキビとあわせて毛穴や赤みが重なってお悩みの方は、ニキビと毛穴、赤みをまとめて診るときのアプローチを整理した記事も参考になります。
資料で報告されている経過はどうか
施術後、比較的早い段階で油分が減ったと感じるケースが報告されていますが、実感の程度には個人差があります。学術資料の小規模な症例報告では、既存の治療にあまり反応しなかった大人ニキビでも変化が観察されたと伝えています。

小規模な症例報告では、6〜9回ほど施術したあと炎症性病変がはっきりと減り、治療終了後14か月以上再発なく維持された経過が紹介されました。経口抗生物質を中止した状態でも状態が維持されたことがあわせて言及されています。ただし、症例数の多くない報告であるため、実際の反応や維持期間は人によって異なる可能性があります。
何回くらい受ければ変化を感じられるのか
経験的には、一回の施術後にも油分が減ったと感じる方がいます。ただし、これは実感であり、個人差があります。ニキビがひどいほうであれば、おおむね次のような流れで計画を立てます。
| 状態 | おおよその施術の流れ | 期待される方向 |
|---|---|---|
| 油分と初期のニキビが中心 | 間隔をあけて少ない回数 | 油分感の緩和 |
| 炎症性ニキビの繰り返し | 1〜2週間間隔で3〜4回 | 病変、皮脂、キメ、毛穴を整える |
| 長期ケアが目標 | 4〜5回以上 | 長期的な改善が期待される |
数字はあくまで方向性をつかむための目安です。肌の状態や生活習慣によって回数と間隔は変わるため、実際の計画は診療で一緒に調整するのがよいでしょう。
どんな方に、まずお勧めすることになるのか
ゴールドPTTは表皮に触れずに皮脂腺へ熱を届ける方式なので、紅斑や色素沈着、やけどといった副作用が報告された例は少ないほうです。もちろん、反応には個人差があります。診察室でこの施術を優先的に検討するのは、おおむね次のような方です。
- テカリや脂っぽさ、広がって見える毛穴にまとめて悩んでいる脂性肌
- 炎症性ニキビが繰り返す、または再発が早い場合
- 抗生物質やピルの服用が難しい大人の女性のニキビ
- 皮脂過多が目立つ思春期ニキビの初期ケア
- 薬を減らしたり中止したりしたあとに、維持ケアが必要な場合
あごのように特定の部位に繰り返すニキビにお悩みの方はあごニキビができる理由とケアの方向性を扱った記事を、食べ物や生活習慣の影響が気になる方はニキビのときに避けたほうがよい食べ物をまとめた記事を続けてご覧になることをお勧めします。
まとめ
繰り返すニキビを前にして方向性を変える基準は、結局一つです。炎症を追いかけるところで止まらず、皮脂をつくり出す皮脂腺そのものをどう扱うかを考えることです。ゴールドPTTはその選択肢の一つであり、すべてのニキビの正解という意味ではありません。今受けている治療がうまく合っているのか、方向性を変える時期なのか気になる方は、状態を一緒に確認したうえでご案内します。

執筆:チョ・ミンギョル院長(皮膚科専門医、大韓皮膚科医師会 色素・ニキビ・酒さ・毛髪マスター認定)。詳しい経歴は医療スタッフ紹介でご確認いただけます。 初回公開 2025年6月28日 / 最終確認 2026-07-09
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個人の状態によって適切な治療と結果は異なる場合があります。