皮膚科専門医のチョ・ミンギョルです。日光黒子(老人性色素斑)のレーザーについてのお話、2回目の記事です。日光黒子のレーザーを選ぶとき、私がまず波長を考える理由では、日光黒子の治療に使われるさまざまなレーザーと、532nm波長の長所と短所を整理しました。今日はその延長として、もう一歩踏み込んでみたいと思います。
日光黒子の治療に、唯一の正解があるとは考えていません。波長であれ機器であれ、最終的に残るのは肌に現れた結果だけです。

中心となる問いはこうでした。日光黒子によく合いそうなこの532nmレーザーを、副作用の心配なくそのまま使えるのか。それとも別の道を探すべきなのか。
532nmはなぜ日光黒子によく合う一方で、扱いが難しいのか

532nmの波長は、日光黒子の治療によく合う波長と考えられてきました。ただ、前回の記事で触れたように、この波長はメラニンだけでなくヘモグロビンへの吸収度も非常に高いのです。日光黒子を狙って照射した光が皮膚内の血管のヘモグロビンにまで強く吸収されると、血管が損傷し、炎症後色素沈着(PIH)が続いて起こる可能性が高まります。
つまり、副作用を減らしながら日光黒子を効果的に治療するには、この弱点を乗り越えなければならないということです。なぜ単純なトーニングだけでは日光黒子がなかなか消えないのかは、なぜ日光黒子は単純なトーニングでは消えないのかで組織学的に別途取り上げていますので、併せてご覧いただくとより理解しやすくなります。
肌を瞬間的に凍らせると何が起こるのか

解決のヒントは温度にありました。レーザーを照射する瞬間に皮膚表面をマイナス2度からマイナス10度前後まで瞬間的に凍らせると、次のような流れが生まれます。
- 表面が急激に冷えることで、その下の血管が一時的に収縮します。
- 収縮した血管では、532nmが破壊するヘモグロビンが相対的に少なくなります。
- 結果として、血管の損傷に起因する副作用の可能性を下げることができます。
狙いとする日光黒子の色素は残したまま、副作用の出発点となる血管の反応だけを一時的に抑えておくわけです。
冷却を行った組織とそうでない組織は、どれほど違うのか


この原理を裏づける論文があります。VSLSと呼ばれる冷却システムを適用するかどうかによって、組織の反応がどう分かれるのかを示しています。左側は冷却を使わなかった組織、右側は冷却を適用した組織です。

- 冷却を使わなかった組織では、血管が破れて赤血球が血管の外へ広範囲に漏れ出る血管外漏出(extravasation)が観察されます。
- 冷却を適用した組織では、そうした現象はほとんど見られません。
| 区分 | 冷却なし | 冷却あり(VSLS) |
|---|---|---|
| 血管の反応 | 血管の破綻が観察される | 破綻の所見ははっきりしない |
| 赤血球の漏出 | 広範囲の血管外漏出 | ほとんど観察されない |
| 副作用の観点 | 色素沈着のリスク上昇 | リスクの軽減が報告されている |

統計で見ても、冷却を適用した側では赤血球の漏出がほとんどない傾向が確認されます。目で見る組織所見と数値が、同じ方向を指しているわけです。
気になる点があれば、気軽にお尋ねください。今すぐチャットで相談する
だからこそ、エネルギーを少し思い切って使えるようになりました
このように瞬間冷却で血管を保護すると、血管の損傷を心配せずに済む分、日光黒子に必要なエネルギーを比較的思い切って使える余地が生まれます。実は、過去にもこうした状態をつくろうとする試みがありました。
以前は、スライドガラスで皮膚を押さえて血管を圧迫したまま治療されていた先生がいらっしゃったそうです。ところが、光がガラスに反射して目を傷めてしまわれたという話を聞いたことがあります。
物理的に押さえてつくっていた条件を、今では冷却技術によってより安全に再現できるようになったのです。
リポットレーザーが日光黒子に特化しているという言葉の、本当の意味

このVSLS冷却技術を搭載した機器がリポットレーザーです。日光黒子を狙って設計されたレーザーで、冷却によって副作用の要因を抑えながら色素を治療できるようにつくられています。
ただし、世の中に完璧な機器はありません。リポットレーザーは、現時点では日光黒子に特化した設計と報告されていますが、すべての日光黒子を跡一つなく消し去る機器ではありません。反応や回復には個人差があり、今後もそのような完璧な機器が登場するのは難しいだろうと私は考えています。機器の強みと限界を併せて知っておくほうが、治療結果を理解するのに役立ちます。
機器だけでは終わらない理由、施術前後のケア

機器が補えない部分は、施術前後のケアが埋めてくれます。特にレーザーのあとに残る炎症後色素沈着を初期にどう管理するかによって最終的な結果が変わることが多く、この点は診察室でよく出会う炎症後色素沈着で詳しく取り上げています。日光黒子を取り除いたあと、傷が治っていく過程をどう管理するかは、レーザーで日光黒子を取り除いたあと、傷が治る4つの段階で続けてご紹介しています。
まとめると、日光黒子の治療は波長一つで終わる話ではありません。波長がもたらす強みと副作用、それを抑える冷却、そして施術前後のケアが一緒にかみ合ったときに、結果が安定して残ります。
ご自身の日光黒子にはどのような方向性が合うのか気になる方は、チャットで相談する

執筆:チョ・ミンギョル院長(皮膚科専門医、大韓皮膚科医師会 色素・ニキビ・酒さ・毛髪マスター認定)。詳しい経歴は医療スタッフ紹介でご確認いただけます。 初回公開 2024年7月15日 / 最終確認 2026-07-09
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、適した治療や結果は個人の状態によって異なる場合があります。